昭和63年 6月定例会 昭和63年6月
定例岡山市議会 議 事 日 程 第6号 6月23日(木)午前10時開議第1
一般質問 …………………………………会議に付した事件 日程第1
一般質問 ──────〇──────出席議員(52人) 1番 片 岡 五百樹君 2番 辻 野 喬 雄君 3番 田 畑 賢 司君 4番 崎 本 敏 子君 5番 楠 木 忠 司君 6番 寺 田 和 子君 7番 土 肥 啓 利君 8番 宮 武 博君 9番 梶 原 昌 一君 10番 貝 原 信三郎君 11番 小 川 晴 雄君 13番 有 井 靖 和君 14番 河 合 和 成君 15番 寺 田 明 生君 16番 則 武 伸一郎君 17番 高 津 利 明君 18番 松 山 茂 樹君 19番 守 屋 彰 久君 20番 串 田 務君 21番 川 田 敏 幸君 22番 堀 川 進君 23番 山 田 録二郎君 24番 鈴 木 邦 彦君 25番 宮 川 日 吉君 26番 丹 原 重 彦君 27番 脇 本 一 郎君 28番 亀 井 章君 29番 吉 田 政 司君 30番 景 山 貢 明君 31番 内 田 宏 哉君 32番 福 原 弘 子君 33番 定 政 猛 男君 34番 華 房 美 衛君 35番 垣 下 文 正君 36番 磯 村 博君 37番 田 中 昭 三君 38番 大 橋 英 雄君 39番 伏 見 昇 男君 40番 高 木 悦 夫君 41番 根 石 昌 平君 42番 妹 尾 達 道君 43番 小 林 勉君 44番 新 谷 盈 智君 45番 山 田 勇君 46番 苦 水 重 徳君 48番 渡 辺 慎 一君 49番 岡 本 俊 彦君 50番 花 岡 薫君 51番 小 橋 留 男君 52番 浅 野 卓 志君 53番 板 野 和 昭君 54番 片 山 仁君 …………………………………欠席議員(1人-欠員1) 12番 太 田 稔君 ─────────────説明のため出席した者 市 長 松 本 一君 助 役 鹿子木 貢君 助 役 八 木 肇君 収 入 役 久 山 忠 孝君 総 務 局 長 三 宅 襄君 財 政 局 長 関 場 長 久君 民 生 局 長 木 村 公 男君 衛 生 局 長 江 尻 堅君 経 済 局 長 人 見 文 男君 建 設 局 長 森 本 隆 也君 下 水 道 局 長 鏡 原 進君 西大寺支 所 長 浅 野 幸 雄君 参 与 有 本 正君 参 与 井 堀 晃 郎君 参 与 菱 川 公 資君 参 与 上ノ土 俊君 水 道 局
水道事業管理者 黒 田 智 昭君 消 防 局 消 防 局 長 懸 谷 忠 弘君 教 育 委 員 会 委 員 喜多嶋 美枝子君 委 員 赤 枝 郁 郎君 教 育 長 奥 山 桂君
選挙管理委員会 委 員 長 小 野 敬 直君 事 務 局 長 井 本 勇君 監 査 委 員 委 員 藤 昭 博君 農 業 委 員 会 委 員 奥 山 歳 行君 ─────────────出席した
議会事務局職員 局 長 原 田 知 義君 次 長 石 原 重 樹君 次 長 中 川 和 彦君 調 査 課 長 塩 見 山 治君 議 事 課 主 幹 小 坂 夏 彦君 議事課長 補 佐 岡 田 登志男君 記 録 係 長 最 相 初 音君 主 事 佐 藤 武君 午前10時10分開議
○議長(片山仁君) 皆さん御苦労でございます。 これより6月
定例市議会第6日目の本会議を開きます。 ただいまの御出席は41名であります。 ─────────────
○議長(片山仁君)
会議録署名議員に梶原君,小川君のお二人を指名いたします。 ─────────────
○議長(片山仁君) 本日の議事日程は
一般質問であります。 ──────〇──────
△日程第1
一般質問 ─────────────
○議長(片山仁君) 日程に入ります。 日程第1は
一般質問であります。 順序に従いまして渡辺君。 〔48番渡辺慎一君登壇,拍手〕
◆48番(渡辺慎一君) 皆さんおはようございます。きょうで
一般質問もいよいよ終わりでございますが,うっとうしい朝でございますが,しばらくお許しをいただきたいと思います。 今回の質問を見ておりますと,静かに,ソフトに質問をした方がどうも答弁のぐあいがええようでございますから,本日はそのつもりでやらしていただきますので,よろしゅうにお願い申し上げます。 さて,通告に従いまして
一般質問をいたしますが,最後の
児島湖浄化対策につきましては,先刻片岡五百樹議員が既に適切な御質問をなさいましたので,省略をさしていただきます。 質問の第1は,これまたきのうの田畑議員の質問と重複するのかもしれませんが,
消費税導入が我が地方財政に及ぼす影響と市長の所信についてでございます。 御承知のように,
自民党税制調査会は去る6月14日税率3%の
新型間接税,すなわち消費税の導入と所得税,法人税などの5兆6,000億円の減税を柱とした
税制抜本改革大綱を決めました。そうして,7月中旬には臨時国会を召集し,300議席の多数の力でこれを強行しようとしておることは御承知のとおりでございます。 その内容は,
非課税取引が
学校授業料,
社会保険医療,保育園,
老人ホームなどと極めて少なく,米や水,薬にまで課税されるというものでございます。東京都の
生計分析調査をもとに,
粕谷幸男税理士が試算したデータによりますと,世帯主の年齢44歳の
主婦共働きの年収644万2,000円の場合,4,000円の増税,母子家庭193万8,000円の場合,3万9,000円の増税,
高齢者世帯,年金を含めて438万8,000円の場合は,1万9,000円の増税になります。共働き,母子,
高齢者家庭以外の普通世帯559万3,000円の場合では,4万8,000円の減税になるという
税制改革でございます。 かかる
税制改革案がいかに弱者に厳しいものであるかということは,これをごらんいただいてもおわかりでございまするが,と同時に,税法に税率の歯どめをかけるような不見識なことはしないと言った
山中党税調会長の談話でも明らかなように,将来の
税率引き上げが予見されるところでございます。 私
たち社会党を初め,野党各党は,
与野党合意による所得減税をまず実施するべきだ,この
税制改革を強行するならば国民に信を問え,と主張しておることはこれまた御承知のとおりであります。 そして,まず何よりも現行税制の不公平の是正,すなわち,個人の
所得税課税では有価証券の
譲渡所得課税の是正,土地の
譲渡所得課税等の是正,法入所得の課税では
受取配当課税であるとか,
引当金制度などなどの是正により6兆3,500億円の増収が可能ではないか。また,医師及び宗教法人の優遇税制の是正を強く主張しておるところでございます。 さて質問の本旨でありますが,自治省は去る6月13日,今度の
税制改革では,
住民税減税による減収が約1兆円,所得税などの減税による
地方交付税の減収が約1兆円,これに電気税の廃止など
消費税導入に伴う
既存間接税の調整が加わり,およそ3兆円の減収になる。また,歳出では,消費税の税率を5%とした場合,地方自治体の
消費税負担が1兆円を超え,減収と合わせると4兆円の影響が出る,と
自民党税調に示したのであります。税率が御案内のように3%に下がりましたから,この試算はその分減少することは言うまでもありませんが,かくのごとき自治体への影響について,市長及び財政当局はどうお考えか,御所信と今後の対応をお聞かせ願いたいのでございます。 さて質問の第2は,市長は本
定例市議会に報第26号として岡山市62年度
一般会計繰越明許費繰越計算書を報告をなさいました。すなわち,2款総務費以下7款42事業にわたっており,総額35億5,500万円余でございます。昨年度の当報告は14億2,100万円余でありましたから,本年度は実に21億3,400万円余多いという内容であります。 これを事業別に前年度と比較してみますと,特に目立つものは次のようであります。
都市排水路整備費が6,569万6,800円が昨年度,本年度が1億8,954万5,000円,
単独道路新設改良事業費が同じく1億1,791万9,000円が1億9,825万9,000円,
市街地景観整備事業費が7,080万円が1億1,589万4,000円,
校舎等建築事業費のうち小学校費が1億2,900万円が5億1,628万2,000円にというふうに,それぞれ増高いたしておるのでございます。 申すまでもなく,
繰越明許制度は,
地方公共団体が単年度に完了を予定している事業を計画し,これを予算化した場合において,これを賄うべき財源があるにもかかわらず,特別な事情によりその執行が遅延し,
当該年度内に完了することができないときに,国の会計規定に準じて
会計年度独立の原則の特例を設けたものと言われており,年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについてのみでありまして,継続費や
自己繰越費とはその性質を異にしておるものでございます。 本市における執行の遅延とは,工事のおくれがその大半ではないかと思われます。もちろん62年度におきましては,御案内のように景気浮揚のため国の予算が後半大型補正となり,
国庫補助事業の
予算割り当てがおくれたことも大きな原因であることは言うまでもありません。また,測量設計のおくれ,用地問題,あるいは近隣との調整,あるいは天候などなど,ことしは割合天候はようございました。これはちょっと外さにゃいけません。理由はいろいろあると思われますが,市民にとっては,ほとんど
公共事業はみんなで陳情し,要望したものであります。したがって,その完成の一日も早いことを期待しておるのであります。また,その設定された工期中は少々の不便や少々の不都合は我慢し,協力するという姿勢は普遍的に定着いたしておると思います。また,これは市民として当然であり,ありがたいことだと存じております。 ところが市民の間からは,私たちに対して,どうも市の工事はおくれて困る,市役所はいつまで3月ならと,工事中は通行どめになり,商売にならず,おくれるほど損害は大きいと,苦情が出ているのも事実でございます。 前述いたしましたように,不可抗力の場合は理解できるといたしましても,工事中,工期は何月何日から何月何日までと明記をされた看板をどかっと立て,しかも御町内へもそういうことで説明をしておきながら,だらだらだらだらと工事が行われ,その進捗ぶりの遅さには関係市民のいらだちが巻き上がるのも当然と言わなければなりません。 けさの山陽新聞を拝見いたしますと,岡山県も本年度はかつてなく121億円の
明許繰り越し費を出したと報道されて批判をなされております。お隣の広島県は,8月補正で404億円を補正したにもかかわらず,
明許繰り越しは51億3,000万円しかない,岡山県は何をしとるか,というおしかりの報道であったことは皆様御承知のとおりであります。我が岡山市もおしかりを市民から受けておると当局は認識をしてもらわなきゃ困ると,かように思います。 そこで質問をいたします。 国,県の事業は工期がおくれるということは今までほとんどないというふうに私たちは聞いておるんでありますが,本市ではこのようにおくれるというのはなぜなのか,ひとつその原因をお知らせ願うと同時に,今後どうやるのかということをひとつ真剣にお考え願って御答弁願いたいと,かように期待をする次第でございます。 さて第3の質問は,岡山市
農業振興ビジョン中間報告及び農政問題についてであります。 本市は昭和47年に岡山市農業の基本構想を策定して以来16年を経過をいたしました。まことに厳しくなった農業行政を踏まえ,21世紀を展望した
振興ビジョンをつくろうと計画し,その
中間報告を先般なされた次第でございます。それを拝見いたしますと,各農協の支所,あるいは地域地域で提言をしている人の顔が見えるような,まさに地についた計画であり,
策定検討会の
岡義忠会長を初め,諸先生方及び市,農協,農民の関係者の皆様にまずもって敬意を表したいと思う次第でございます。どうぞ63年度完成へ向けましてなお一層の渾身の御努力をお願いする次第であります。 さて,本市農業の特徴と利点は,全国第2位の5万1,072ヘクタールの広大な耕地面積を有することなどなど多くありますが,特に強調したいことは,先輩の御努力で技術の集積度が非常に高うございます。これを基礎にいたしまして,革新技術の積極的な導入と,特産物がたくさんございますけれども,後進県にいまや追われ,追い抜かれておるのが現状ではないかと危惧いたしますので,これをしっかり守る努力をすると同時に,新しい
カラーづくりをすることが必要ではないかと,かように思います。 第2番目には,稲,麦作には適する
農業基盤がおおむねできておるとはいうものの,汎用化への対応は大変おくれておるということでございます。 第3番目には,
農業所得は総生産額では豊橋市,別海町,都城市,岡山市と,全国で第4位でございまして,321億1,200万円ということでございます。
県庁所在地では恐らく岡山市が市長一番高うございますね。 ところが,農家1戸当たりの
生産農業所得は,先日の辻野議員の御質問にお答えになりましたように60万1,000円。農家1戸当たりの
生産農業所得60万1,000円。60万1,000円と申しますと,
地方公務員の初任給の大卒のお方がおおむね5カ月,大変安い一戸当たりの
農家所得であります。また,耕地10アール当たりの
生産農業所得額で申しますと7万6,000円。60万1,000円といい,7万6,000円といい,トータルでは全国第4位でございまするけれども,精査をいたしておりませんが,このデータで見る限り,下位に属します。こういう特徴があろうかと思います。このような明と暗との諸課題を抱えつつ,苦渋しているというのが岡山市農業の現実ではないでしょうか。 今農村では梅雨空のもと,田植えがほぼ終わり,青々とした早苗が一面に広がっております。と申したいのでございまするけれども,3割の転作田が大変目につく最近の水田であります。そうして,働く農民たちの顔や肩には,夢と希望がなく,力が抜けてやむなく農業を続けているんだぞという言いしれぬ虚脱感を感じずにはおられません。それはここ数年開放体制を迎え,年とともに文字どおり厳しさを増しているからでございます。 そこできょうの質問のまず第1は,本年2月ガットの
理事会におきまして,我が国は農産物12品目の輸入制限は
ガット違反と裁定され,
自由化勧告を一括して受諾したのであります。 すなわち,牛乳,粉乳,練乳,
プロセスチーズ,牛肉・
豚肉調製品,フルーツピューレ,ペースト,
フルーツパルプ,
パイナップル缶詰,非かんきつの果汁,
トマトソース,ケチャップ,でん粉,ブドウ糖などと,代償措置が残っている雑豆,落花生を含めてであります。この自由化により,外堀はまさに埋められました。そして,牛肉,オレンジについては,難航の末とはいえ,ついに去る6月20日,日米の二国間協議により3年先に自由化と決着をしたことはもちろん御承知のとおりでございます。 国内対策を検討始める政府,そうして逆に張り切る
大手スーパー,本当に安くなるのかと疑問を投げかけておる消費者。そして北海道ではテレビ等で報道されておりますように,
肉牛生産農家が前途を悲観をいたしまして自殺をしたというほど痛ましい事故が起きておる。深刻に受けとめておる
生産者団体等であります。 21日に岡山県北の久世で御案内のように子牛市場がございました。3年先に自由化されるというにもかかわらず,自由化が二国間協定で決まったと報道されました21日の久世の子牛市場は,心なしか弱含み景気であったと言われております。 そこで問題は,
牛肉自由化について京都府立大学の
武部助教授の試算によりますと,自由化後1期,すなわち67年から70年までは
国内生産は現状の47%に低下するであろうと,2期と言われる71年~74年の間は43%に低下すると予測されておるのであります。もっと厳しい予測もございます。岡山市も酪農地帯を旭東,小串,足守,そうして
肉牛生産地帯を各地に持っておりますだけに,これらの影響は大変大きいと思うのでありますが,その対策はどうするのかお聞かせいただきたいと思います。 その2つは,牛肉,オレンジの次は米と言われております。 日本が米の輸入化を自由化すれば245万トン,金額にして17億ドル,日本が米の輸入を自由化しないために
アメリカはこれだけ不利益をこうむっておる。また,牛肉,オレンジの日米二
国間交渉大詰めの15日に,リン・
アメリカ農務長官は日本の米100%自給は米国から見ると不公平だと相変わらず米問題に強い関心を示しておることは,報道されて御承知のとおりであります。我々から申しますと,まさに主権の侵害の
アメリカの対日要求でございました。しかし,皆さん,日本が将来米や麦,牛肉や酪農などの生産を
アメリカに任せてしまい,国内では果樹,野菜,草花,鶏,豚などの小家畜をやればよいと提言したのは,紛れもなく84年9月の
レーガン大統領と中曽根前首相が
日米諮問委員会最終報告書に書かれておる発言であります。米は聖域,絶対守ると自民党や政府は言っておりますけれども,きょうまでのもろもろのこれら諸情勢を考えるとき,まさに信頼することが可能でありましょうか。 だとするならば,全国一の水田面積と生産量を誇っておる岡山市であります。もちろん我々は全力を挙げて反対をすることはもちろんでありますけれども,現実の姿勢といたしましては,残念ながらその対応を
長期ビジョンでは避けて通れないのではないでしょうか。市長,経済局長の御所信を改めてお伺いいたしたいのであります。 その3は,米の
輸入自由化に先立って,政府は本年2月米の流通改善大綱なるものを決定をいたしました。すなわち,競争条件の導入や制度運営の弾力化,そして3年ないし5年先には
自主流通米を現状の4割から6割程度に拡大しようとするなどなどであります。これらは
八郎潟不正規流通米不起訴事件に象徴されるように,国内の
米輸入自由化を促進することは言うまでもありません。そうして,今日までの農民,農協,行政一体となって取り組んでまいりました,転作目標の達成,
調整保管料を負担してまでの意義,
不正規流通米の防止などなどはこけにされまして,全くないがしろにされたと言わなければなりません。 食管,転作,米価は新しい局面を迎えたのであります。各地で米を中心に農民と消費者全体の取り組みや新品種の開発や
産地間競争が厳しくなっておるのもこのためでありましょう。また,政府米は余り,
自主流通米は10キログラム5,000円以上もするという現象もそのためでありましょう。 そこで問題なのは,米を国内自由化したときに,
生産者米価はどれぐらいになるのかということでございます。前述の
武部助教授の試算によりますと,60キロ当たり1万5,100円ないし1万5,200円,現状の80%程度に落ち着くだろうという試算でございまするけれども,稲作の所得は現状の45~48%程度に減少するというのであります。そして,
小規模農家ほどその低落は大きいと試算されております。もしこれらが事実であるとするならば,当面するであろうこの現実に対してどう我が岡山市は対応していくのか,これこそ真剣に現実の問題として考えていただかなければならないと思います。 さてその4は,本
年度生産者米価についてであります。
国内農産物市場は
貿易自由化によりますます減少されました。そして,御案内のように価額という価額,
農畜産物という
農畜産物はまさに総引き下げの時代であります。多様な同時攻撃を受けて逃げ道がないというのがまさに日本農業の現状であります。その中で,本
年度生産者米価は,その算定方式をことしからは
生産費対象農家は1.5ヘクタールを下限とする,この方式は3年程度とし,将来は5ヘクタール以上とする。これらの算定の結果,
需給均衡化米価とするとして,向こう3年間で現行米価を20%引き下げようというもののようであります。
米価審議会は今月下旬から7月上旬に開かれようといたしておりますが,昨年の5.75%引き下げに続いて再引き下げは残念ながら確実であろうと思います。 そこで,かかる情勢を判断をいたしまして,一層地域経済に及ぼす影響,62年,63年の諸条件による米価の収入は,岡山市内で24億円,岡山県下で100億円と言われております。これらを考えまして,どう対策を練るのかお考えをいただきたいと思います。 先般,楠木議員は,岡電が春闘の定昇もベアも回答せんと,大変不誠意な企業であるということで卓をたたいて怒りを質問にあらわされました。岡電も悪い。しかし皆さん,今賃金も物価も生産資材も,3年間20%も下がっておるものがあるか。市長,あったらわしにだけ教えてください。恐らくないはずであります。岡電以上のやり方をする
政府自民党の米価対策と言わなければならないと,かように思います。 かかる厳しい客観情勢の中に立たさせておる農業でありますから,画一的な農政ではなく,農民の自主性を重んじた地域農政の展開こそまさに大切であると存じます。 そこで今回の
中間報告の中で,やれるものから早急に取り組んでほしい。せめてそのための
フィードバック作業を始め,作業を促進していただきたいと存ずる次第でございます。 特にお願いいたしたい諸問題は,水稲の
委託栽培希望農家増と受託農家の不足対策ということが各報告で提言で深刻になっております。そこで退職者とか,あるいは御婦人とかを
請負耕作集団に育成してはどうかという提言もございました。御所信をお伺いをいたしたいと思います。 その第2は,
有機農業推進のために堆肥製造と広域的な利用組織の整理を要求されておる声がたくさんございました。 3番目には,
地区別推進構想のうち,いろいろな一村一品とも言うべき特産物とイベントの振興計画がございました。 4番目には,
手づくり農産加工場の新設整備を提言してらっしゃる声もたくさんございました。 5番目には,
農業基盤整備事業の計画的な促進を力強く要求されておりました。 これらの諸問題は,1年,2年と時間をかける余裕がないぐらい大変緊急な諸問題だと思いました。 そこでもう1点お尋ねをいたしたいのは,63年度新たに予算化されました新技術など
調査研究助成金制度の運用はどうなっておるかということでございます。 当初申し上げましたように,流通集積の上に新しいカラーをつくることが絶対必要だというこの時代に,こういう制度をうんと活用して,発想を新たにわき出していただきたいと,かように願う次第でございます。 以上,農業問題の質問を含めまして3点質問いたしましたので,どうぞ再質問のないように適切な御答弁をお願いいたしまして,質問を終わらしていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(片山仁君) 当局の答弁を求めます。 〔市長松本一君登壇〕
◎市長(松本一君) 渡辺議員の御質問に対しましてお答えをさせていただきます。 まず,一般消費税の問題でございますが,田畑議員の質問でお答えをいたしましたように,税制問題というのは我が国の財政制度全般にかかわる重要な問題でありますので,今後国会等におきましても十分な審議がなされるものと信じております。 また,地方財政に与える影響についてでございますが,
住民税減税によります減収,所得税等の減税による
地方交付税の減収,電気税廃止等
消費税導入に伴う既存の間接税の調整による減収等が伝えられておりますので,私といたしましても今後とも国の審議の動向を慎重に見守りながら,全国市長会等6団体との連携を一層密にいたしまして,対応してまいりたいと考えております。特に,この
税制改革によって地方の財源へしわ寄せが来るということのないように,地方財源の充実確保につきましては努力してまいるつもりでございますので,一層の御理解とまた御協力,御支援をお願いをする次第であります。 次に,牛肉,オレンジの自由化による本市への影響でございますが,日米間の最大の懸案として難航を重ねておりました牛肉,オレンジの
輸入自由化をめぐる日米交渉は,御承知のとおり去る20日に合意に達しまして,牛肉,オレンジを3年後に自由化する等で決着したと報道されております。 オレンジの自由化につきましては,市内にかんきつの栽培農家がございませんので,直接的な影響は少ないものと考えられますけれども,牛肉につきましては肥育農家が16戸ございまして,今後これについて自由化の影響が生ずるものと考えられます。 牛肉につきましては,消費者の高品質志向の中で高級国産牛肉に対する根強い需要がございまして,価格も維持されていると聞いております。今後これら肥育農家に対しまして,高級志向に対応し,一層品質の向上やまたコスト低減を図るように指導していきますとともに,これら農家の保護対策について関係機関に要請してまいりたいと考えます。 その他につきましては担当からお答えします。
◎財政局長(関場長久君) 繰越明許費が多いことにつきまして,御答弁申し上げます。 御指摘のとおり,62年度事業の繰り越しが多額に上っているわけでございまして,まことに申しわけなく思っております。 この要因としてでございますが,62年度は4月に統一地方選挙がありました関係から当初予算が骨格的予算であったということで,6月補正におきまして自主的な肉づけ予算が組まれたという状況,また,9月には補正予算としまして国の景気浮揚政策にあわせまして大型の追加
公共事業の補正を行ったということ等が大きな要因ではないかと考えております。 繰越明許費につきましては,御指摘にありましたように会計年度の原則を乱すものでございまして,常に問題意識を持ちながら予算編成時等各機会を通じまして各局に対しまして事業費の年度内施行ということを強く要請しているところでございます。 今後の対応といたしましては,年間の適正な実施計画を立てるとともに,用地買収あるいは地元調整につきましては地元議員の皆様方の御協力を得まして,また,工事発注に際しましてはでき得る限り分散発注を心がけて円滑な施行が可能となるよう,施行現場の地域の実情,工事の内容,施工能力,経験などを考えまして,また手持ち工事につきましても配慮しながら,総合的な見地から公正な業者選定を行ってまいりまして,早期着工に努めてまいりたい,常に事業の進捗状況を把握しまして,年度内完工を厳守するよう努めてきたところでありますが,さらに今後とも原因を精査し,部局長会議等を通じまして一層適切な措置を講じてまいりたいと,このように思いますので,よろしくお願いいたします。 以上でございます。
◎経済局長(人見文男君) 農政問題につきまして市長答弁を補足させていただきます。 米の輸入の自由化に対応した長期的なビジョンも必要ではなかろうかという御指摘でございますが,米は国民の主食でございまして,国内自給を基本として推進していくべきものと考えております。 最近の消費者ニーズの変化に対応いたしまして,消費者の求める米づくりを行っていくことが重要であろうかと考えております。 昨年の9月の総理府の調査によりますと,食糧供給に期待するものといたしまして,農薬の使用料を減らすなど安全な食糧の供給を求めたものが48%,コストの引き下げによって安い食糧を供給というのが39%,味や新鮮さなど品質のよい食糧を求めたものが39%,これはいずれも複数回答でございますけれども,そういうことになっております。 最近,コストの問題もさることながら,特に安全性,品質等に対する消費者の関心が高まってきておるところでございまして,こうしたことから今後味のよい米づくりや有機栽培米等の特色のある米づくりに努めてまいることが必要であろうと考えておるところでございます。 次に,米が国内の自由流通農産物となった場合に,そういう場合が来るのではないか,どう対応していくのかということでございますが,昨年の11月の食糧庁の米流通研究会の報告によりますと,今後
自主流通米の比率を高めるとともに,流通業者の営業区域の拡大等競争条件の導入を図っていくことが提言されたところでございます。この報告に沿って本年の3月には米の流通改善大綱が示されまして,今後米流通の弾力化等によって産地間の価格格差が広がってくることが想定されております。こうしたことから,今後岡山市産米の味のよさを市民の方々に十分認識していただく必要があろうかと思いますので,それらのPRに努めるとともに,生産に当たりましては一層の品質の向上,コストの低減が図られるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。 本年度の
生産者米価の引き下げは残念ながら確実なようであると。これらの傾向は今後続くと思うけれど,それの対応策はどうかという御質問でございますが,米価の算定方式の見直しは,農地の利用集積を図る,それから生産性の高い稲作農家の育成を図る,そういったことを基本として進めておると聞いております。 今後中核農家が
生産者米価が引き下げられた場合においても,生産費が償えるよう農地利用の集積や団地化,これを推進していくとともに,消費者ニーズに沿った米づくりを行うことが重要であろうと考えております。このため,今後圃場整備や担い手育成等を図るとともに,農地の利用増進,品質向上等が図れるように指導してまいりたいと考えております。 次に,農業
振興ビジョンの
中間報告に関連いたしました御質問について御答弁させていただきます。 まず,水稲の委託栽培の希望農家の増加と受託農家の不足対策,こういったこと,それから退職者の請負耕作,これらに対する取り組みでございますが,今後生産性の高い水田農業を確立するためには,受託,委託等を積極的に推進していくことが必要でございます。その推進に当たっては御指摘のように担い手の育成,それからその確保,こういうことが重要でございます。 最近の水田農業は機械によって作業が行われるということもありまして,サラリーマン退職者でも十分可能でございます。こうしたことから,今回の農業
振興ビジョンの中でも,現実対応といたしまして,農業に意欲を持つサラリーマン退職者等を対象に担い手として育成していこうという構想も幾つかの地区でございます。今後農業ビジョンの策定を進めていく中で,こうした新たな構想の具体化も地区の関係者の方々とともに検討してまいりたいと考えておるとこでございます。 次に,有機農業の推進のための堆肥製造等についての御質問でございますが,最近の化学肥料や農薬に依存しないで自然の生態系を重視した栽培方法でありますところの有機農業の推進が進みつつあるとこでございます。この有機農業は良質な堆肥づくりが不可欠でございまして,これまで家畜のふん尿を利用した堆肥製造につきましては,拠点的ではありますが,西大寺,小串,足守等で実施いたしておるとこでございます。今回の農業
振興ビジョンの中には,畜産農家と耕種農家等が互いに補完しながら広域的に利用できるシステム等新たな構想等も提起されております。今後これまでの経験を生かしながら地元関係者と検討してまいりたいと考えております。 次に,地区別の推進構想のうちに,一村一品の特産物とイベントに関する御質問がございましたが,近年消費者ニーズが潤い,安らぎを求めるとともに,自然志向,高級志向が強まってきておる中で,今後特色ある農産物の育成や消費者との交流による農業は大変重要であると考えております。こうした中で,今回の農業
振興ビジョンの中でも各種特産物の振興とともに桃祭りなどの地域の資源を生かした各種イベント等が上げられておりまして,今後地区関係者とともに先進地の調査等も含めまして検討してまいりたいと考えております。 次に,手づくり加工製品等の御質問でございますが,近年の消費者の本物志向,高級品志向の高まる中で,転作作物等農産物の付加価値を高める手づくり加工を重視していく必要があると考えておるとこでございます。現在,農協婦人部等を中心に転作作物や地域の特産物を利用いたしまして,手づくりのみそであるとか,漬物等が生産されております。今後,農業
振興ビジョンの地区別検討を深めていく中で,農協等とも協議しながら,農産加工品の品目や数量の拡大を図って,加工施設の整備等にも努めてまいりたいと考えておるとこでございます。 次に,基盤整備等も重要なことであるという御指摘でございますが,需要の動向に応じた生産を行うとともに,受託,委託等によりまして一層生産性の向上を図るためには,その基礎となりますところの農業の基盤の整備は極めて重要でございます。今回の農業
振興ビジョンの策定を推進する中でも,多くの地域からその必要性が提起されておりまして,これらを契機に今後各地区の関係者の合意が得られるよう啓蒙啓発等を行いながら積極的に推進してまいりたいと考えておるとこでございます。 それから次に,本年度予算化いただきました新技術の推進に関する予算をお願いしたわけでございますが,この新技術,新作物の導入事業につきましては,農業
振興ビジョンの具体的推進を図ることなどをねらいといたしまして,本年度からスタートするものでございます。現在,これら課題の応募を行っておりまして,7月に審査会を行った後に推進していくこととしております。今後本事業を積極的に活用し新技術,新作物の導入に努めてまいりたいと,これが御質問の冒頭にもございました伝統のある農業技術,特産物の多い岡山の農業を守ることにもつながろうかと考えるとこでございます。 以上でございます。 〔48番渡辺慎一君登壇〕
◆48番(渡辺慎一君) 2点だけ再質問させていただきます。 財政局長の御答弁の
明許繰り越しの適正化につきましては,原因を尋ねるよりも今後どうするかという対策の方がより一層大切であろうと,かように思います。どうか御答弁のように来年度はかかることのないようなひとつ御努力をお願いをしたいと,かように要望いたしまして,御答弁は結構でございます。 さて,牛肉,オレンジの自由化に対する影響のうち,牛肉に対しては市長から御答弁ございましたが,どうも答弁を聞いておりますと,多少御認識が違うのじゃないかと思います。和牛農家が市内に16戸あるので,その皆さんについてはかくかくかような対策をしたいと,こうおっしゃるんであります。そりゃあなるほど大切でございますが,先般辻野議員も一部御質問で触れられましたが,我が国の和牛の肉質というのは,どなたに御意見を聞きましてもまさに世界一の食味であろうかということであります。したがって,幾ら外国の牛肉が輸入されましても,さほど価格に大きな影響はなかろうという説もございます。しかし,もろに影響を受けるのは和牛肥育農家よりも雑種の肥育農家,あるいは老廃牛を飼育しておる農家等ではなかろうかと思います。したがって,牛乳の貿易12品目の調製品を初めとする自由化とあわせて酪農家も大変な影響を受けると,こういうことでございます。したがって,岡山市には旭東酪農地帯,小串の酪農地帯,あるいは足守その他地域がございますから,ひとつ重要な施策として考えていただきたいと,こういうことを御質問申し上げましたので,答弁ができれば結構でございますが,できませんですと要望にとどめておきますが,御認識をしていただきたいと,かように思う次第でございます。 以上です。(拍手)
○議長(片山仁君) 当局の答弁を求めます。
◎経済局長(人見文男君) 牛肉,オレンジの自由化に関連しました御質問で市長から御答弁いただいたわけですが,和牛のその味のよさというものにはやはり根強い需要があると。したがって,そのいわゆる高級な和牛肉のその需要の多い肉牛の飼育に努めるように今後努力してまいりたいと,こういうことで申し上げました。 なお,御指摘のように乳牛につきましても,岡山市には4,400頭から飼育されとるわけでございます。これらに対する12品目の自由化等によりまして影響も無視できません。そういった面につきましても,コストの軽減とかいろんな助成等についての関係の要望とか,そういうことはやっていきたいと考えておるとこでございます。
○議長(片山仁君) 次は,順序に従いまして亀井君。 〔28番亀井章君登壇,拍手〕
◆28番(亀井章君) 皆さんおはようございます。
一般質問もあと2人だけになりまして,第4コーナーを回りましてホームストレッチヘ入ったところで,頑張ってまいりますので,いましばらく御清聴のほどをお願い申し上げたいと思います。 今回の議会はチボリ議会と言われ,私を含め11名の議員がチボリ公園建設問題について質問ないし感想を述べたわけですが,期待に反し論点がかみ合わず,質問は違っても答えは皆同じといういささか拍子抜けの思いは私だけではなかったと思います。最終的には,当局の思惑どおりいくかは別として,うわさの範囲でも市の屋台骨を揺るがす大事業ですから,もう少し冷徹な洞察力と慎重な対応,そしてみなぎる自信を持って議員の質問に挑んでほしかったと思います。 質問に入る前にチボリ公園の総括をし,欧州旅行の報告にかえさしていただきたいと思います。 今回の旅行では,チボリ公園と比較するために各都市の公園を時間の許す限り見て歩きました。パリでは,シャルトマールス,チュイルリー,マドリードではオエステ,カンポ・デル・モロー,レティロ,ローマではボルケーゼ,ロンドンではオランダパーク,キングストンガーデン,コペンハーゲンではチボリ以外にバッケン等,百聞は一見にしかずをモットーにヨーロッパの公園の実態を調べました。日本と比べて街路樹の多いこと,そしてそれが都市景観を形成し,さらにその延長上に広大な敷地をふんだんに使い,芝生と道の美しい幾何学模様,それに木立と彫刻と池でアクセントをつけたすばらしい公園が至るところにあるのは驚かされました。そして,ヨーロッパの公園は日本のような特別にレジャーを楽しむ場所ではなく,極めて日常的な生活空間の場ではないかという印象を強く受けました。 チボリ公園はそうしたヨーロッパの公園にさらに生活空間としての様相を強め,遊戯施設やレストラン等の飲食施設を併設し,くつろぎや憩いの場所としての機能を高めて,一味違った風情を形成していました。チボリ公園を見て感じたことは,私の文化レベルが低いかもしれませんが,このレベルの公園でどうしてこんなに人が集まるのだろうということでした。どの角度から見ても絵になっており,木立のまことに美しい公園でしたが,頭に去来するものはその美しさよりもなぜこんなに人がということばかりでした。 この疑問を解決する手がかりにと,チボリから12キロ離れたバッケンという,チボリ公園よりも古く,チボリ公園と同じような遊戯施設を持ち,美的にはそれほどでもない公園に行ってみました。辻野議員が述べていたとおり,遊戯施設やレストランのある通りや広場はチボリ公園と同じぐらいの人が集まっており,駐車場は車でいっぱいでした。チボリ公園と違うことは,子供や青年が多く,老人の姿は夜10時ごろであった関係かもしれませんが,そんなに見当たりませんでした。若者にとってはこの遊戯施設が魅力になっているのではないかと私なりに結論づけました。 人が集まるということについて考えれば,もう一つのファクターは,国民性ではないかということです。このことについてマドリードのレティロ公園に見出すことができました。この公園はスペイン王家が市民に開放した広大な公園で,美しい木立とバラ園,そして中心部に立派な彫刻を配した池があるだけという,ヨーロッパで通常よく見ることのできる公園ですが,池の周りにはいっぱいの人でした。そして,その中には飾り物や絵,食物を売ったり,昼店が立ち,ギターを奏で,ドラムをたたき,音楽に興じてる若者たち,路上に絵をかく芸術家等,みんな思い思いの表現をしながら日曜日の昼下がりの日光浴を楽しんでいました。また,月曜日の真夜中のスペイン広場では,小学生20数人が輪になって歌を歌っておりました。手拍子をとり,時には踊り,周りの人たちもその楽しいムードに酔いしれていました。家に帰ってテレビでくつろぐ日本人と違って,ヨーロッパの人々は余暇を家で過ごすのではなく,広場や公園に集まり,みんなとの交流の中で余暇を楽しむ習慣を持っているのだという実感を抱きました。 これらに加えて,人が集まる要素として,白夜である,そして長い厳しい冬である,という自然条件,長い人間の営みの中で培われた歴史的条件,コペンハーゲンの位置する地理的条件を上げることができると思います。 こうした諸条件を考慮し,チボリ公園を考えると,この公園を日本流の集客公園と位置づけ,コマーシャルベースに乗る公園として建設するのなら失敗するのではないかと思います。この公園のよさは,人間の営みの一部として,そして北欧諸国民の生活空間として根づき,人々の喜びを表現できるゆとりとくつろぎの場であることではないかと思います。そうしたいわゆるチボリの哲学を生かす公園,それは採算面ではどうにもならないと思いますが,市民が一体となって負担を分かち合えるコンセンサスが得られるなら,次代の公園として建設してもいいのではないかというのが私の結論です。 こうした考え方を根底にチボリの質問に入りたいと思います。 第1の質問は,チボリの公園の総括的な問題ですが,堀氏が説明等でよくチボリ公園は世界二大レジャーパークと位置づけられていると解説し,新聞等にもそのまま引用されておりますが,この定義づけはだれがしたのか,どのような基準で設定されているのか説明していただきたいと思います。 私自身,このような二大レジャーパークという言葉は今回初めて聞いた言葉ですし,出所について明らかにしておかないと,市民に誤った先入観念を植えつけることとなり,問題の本質をゆがめるおそれがあるので,確認しておきたいと思います。 その2は,チボリの海外進出の件ですが,私たちが旅行にもらったデンマークの旅行案内書,ツーリストのチボリ公園の項には,英文ですが,「Its soul is here and cannot be copied!」──この前後を直訳すれば,これがチボリが唯一である理由である。チボリは世界に至るところで模倣されてきたが,決して成功はしていない。チボリの心はここにしか存在せず,それは絶対まねることができないと強く書いてあります。 このように旅行案内書にも強調されている門外不出のチボリがなぜ海外進出するようになったか,その背景について当局はどのように判断されるのかお示しください。 また,20カ所ぐらいと言われている進出先についても都市名を挙げてください。 もう一点は,チボリの財務内容についてであります。 今回の旅行中に詳しいデータが出され,それに基づいて会議でも持たれるのかと思っておりましたが,会議どころか資料すら出ず,出たのはチボリのパンフレットだけというありさまでした。この点についてはもう少し当局は下準備をすべきであったと思いますが,いまさら言っても仕方ないので,この点は打ちどめしておきますが,チボリ自体の財務について改めて説明願いたいと思います。 詳しいデータは総務委員会に提出していただければ結構ですが,ここでは部門別売り上げ,優待券所有者の数,入園者の世代分布に限定して質問したいと思います。 次に,センチュリーパークチボリ株式会社についてお伺いします。 この問題は,チボリ建設に関して質問した議員がすべて質問したほど関心が高く,また問題が多い案件であろうと思っております。現在の状況では,もっと早く設立について話があってもよかったのではないかという,多少感情的な側面が大きくクローズアップされておりますが,問題はそのような問題よりもさらに大きな問題をはらんでいます。この出資金については私自身4月には知っており,最近になって財界,県の連絡調整会議で初めて合意され,この時期にしか出せなかったという助役の答弁はいささか議会を取りつくろうための詭弁としか私は思っておりません。 この問題は,代表者会議,特別委員会でも論議されているので,これだけにとどめておき,会社設立の本質論に入りたいと思います。 まず第1に,新会社の設立の件ですが,この会社の目的については,誘致を目的としたセンチュリーパークチボリ公園を建設,企画,設計をし,さらには事業見込みの策定調査に関する業務となっています。この業務をするだけでなぜ会社を設立しなければならないのか,私にはわかりません。この会社がこの目的を終えたときにも引き続き継続するか,またこの作成したノーハウを他に転売して利益を得るというような目的がないのですから,それぞれの団体が協力して出資する任意団体でもよいのではないかと思います。私自身,本来の事業主体が確立し,その事業主体がチボリと契約し,かつ今後の事業計画を策定すればよいと思っているので,今度の提案は余計に奇異に感じるわけですが,このあたりの基本方針を明確にしていただきたいと思います。 次の質問は,当局が私の考え方に同調していただいて,会社設立を撤回していただければ別に問題はないのですが,どうも弱い一議員の声など気にしないということで,会社設立を強行された場合についてお伺いします。 その第1点は,資本金の件ですが,景山議員の質問,つまり授権資本2億円のうち払い込み資本以外の1億5,000万円についてはどのような計画があるかとの質問に対して,助役は払い込み資本5,000万円で賄い,残りの資本については計画がなく,必要になったとき考えるとの答弁があったように思います。となると,株主は出資の範囲にしか責任を負いませんから,この会社が放漫経営をやって大借金をつくった場合どのような結末になるか目に見えるようで,市民に負担をかけないようにすると言明している企画室長参与の言葉はむなしく聞こえます。 このような危惧をなくするために,そしてスムーズに会社業務が推進でき,また会社がとんでもない方向に行かないようにするために,この会社の行動に一定の制約をかけておかなければならないと思います。 そのまず第1は,堀プロデューサーを会社役員及び株主から排除することです。助役は私と違って法学部出身で法律等には精通されているわけですから,こんな組織,すなわち発注会社の役員が受注会社の社長ということになればどのようなことが起こる可能性があるかということはよく御承知のはずです。現在でも堀氏に振り回されて金を支払っており,行政の主体性はどこにあるのか私どもは危惧しているのに,この上にさらに不安を植えつけてくれることをするのですから,市は一体何を考えているのだろうというのが私の正直な感想です。 それから,関連してお伺いしますが,堀氏が社長をしているランドシステムの役員構成はどうなっているのか。また,年商1億円ということだが,その企画部門の売り上げは幾らか。また,定款で有価証券の売買が会社の業務に入っているようですが,その関連の売り上げは幾らなのかお示しください。 第2の歯どめをしなければならないのは,借入限度額の設定だと思います。この会社は先ほど申し上げたとおり,建設計画及びソフトを開発する会社ですので,次のステップの会社は当然この会社の財産を丸ごと買わなければならないはずです。ということは,負の財産,すなわち借金も当然背負わなきゃなりません。ですから,役員会議に諮ってするから大丈夫という意見もあるかもしれませんが,無制限にしておくと開発コストが高くなるという心配もあるので,ぜひ歯どめをかけておくべきだと思います。その辺についてどのように考え方を持っているのかお示しください。 これも関連になりますが,新会社の役員及び社員はどのように考えておられるのか。7月発足ということですから,当然お考えのことと思いますので,明らかにしてほしいと思います。次は,たぶん答弁してもらえないか,検討中ということになるかもしれませんが,次のステップとなる事業主体を形成するであろう第三セクターはどのような形態を考えているのか。盛んに市の負担にならないようにするとのことではありますが,財界,県,市が一体となって行うのだと決意表明をされているだけで,清算事業団等の交渉経過等の報告を聞いておりますと,とても市抜きには考えられないので,何か妙案でもあるのでしょうか。この問題も既に誘致交渉,土地買収交渉とあわせて計画を進めなければならない絶対条件であると思います。私たちは金の話抜きで物事がどんどん進んでいる様子に心配しているわけですから,この問題をどのように解決していくのか説明していただきたいと思います。 次に,堀プロデューサーの件でお伺いする予定でしたが,割愛さしていただきます。 ただ,行政が今申し上げたとおり主体性を持って事業遂行をしていただきたいということだけは申し上げておきます。 次に,各局がこの問題についてどのように検討しているかについてお伺いしたいと思います。 申すまでもなく,この構想,事業はある意味で市政始まって以来の大規模な事業だと思います。そうした事業であるから,ゆえに市民の関心も高く,その反映として当局もそれぞれの立場からこの問題についてそれなりの対応及び対策は既に検討していなければならないと思います。 そこでまず財政局長にお伺いします。 この問題にかかわっている市幹部職員は,このチボリ公園建設に当たって市の金は使わないと言っておりますが,私はそのような楽観主義者ではありません。常に最悪のケースを想定し,それでも事業遂行できるという見通しの上に立って私は事を進めるわけですが,今回の公園建設には最終的には莫大な市費の持ち出しが必要であろうと思っております。 こうした観点に立って,財政局長にお伺いしますが,現時点の財政状況において最大限どのくらいの建設投資が可能かどうか等について,その見通しを明らかにしていただきたいと思います。 次に,経済局長にお伺いしますが,堀プロデューサーが提出する資料の中で,岡山の経済圏について4,000万人,つまり中京圏から北九州圏までを入れるとしておられ,それに基づいてチボリの入園者の推定をされております。この分析に対して経済局長はどう思われるのか所見を述べていただきたいと思います。特に経済局においては市の観光診断に1,500万円かけられており,それにはそのような経済圏はないと報告されておりますが,同じ市が報告が異なった計量分析がなされているわけですから,この点についても答弁していただきたいと思います。 また,この点について企画室参与はどう思われますか,あわせて御答弁をお願いします。 チボリ公園建設には周辺整備を含め社会資本整備が必要ではないかと思います。駅建設を含め周辺道路網の整備等交通体系の確立,500万人の汚物を処理する下水道の整備等主要な事業だけでも数100億円が必要と思われます。 まず建設局長にお伺いしますが,500万人を処理するためにも周辺道路網をどのように改良しなければならないか,またそれに伴う事業費はどの程度推定できるかお答えください。 また,下水道事業についてもどのような計画で500万人の汚物処理がなされるのか。地域処理されるのか,また流域下水道に組み入れるのか。また,事業費について推計してください。 この項について最後になりますが,教育委員長にお尋ねします。 チボリ建設問題を考える場合,避けて通れない問題が2点あります。 その1つは,あの公園は昼というより夜型公園であり,12時ごろまで子供たちが平気で徘回する,そしてビールも十分に飲める国ですから,当然酒を飲んで遊んでいる姿は西洋流,特に北欧の個人主義の世界では当然容認できるにしても,日本ではどうかと思います。このような夜型公園の存在について教育委員長はどのように考えているかお伺いします。 また,片岡議員がちょっと触れたと思いますが,ルーレット等の賭博性の強いゲーム機がたくさん設置されております。チボリの収入分析がなされていないので正確には言えないのですが,このゲーム収入が売り上げの相当なウエートを占めているとも言われております。私はこの公園を3日間昼夜見て回りましたが,いつもゲーム機の周りはいっぱいの人で,子供たちがゲームに興じている姿は無視できる数ではありませんでした。ラスベガスではルーレット1台持っとれば一生楽に生活できるほどの収入があると言われております。こうした賭博性のあるゲーム機の存在について,青少年健全育成の立場から教育委員長の所見を示していただきたいと思います。 以上で第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(片山仁君) 当局の答弁を求めます。 〔市長松本一君登壇〕
◎市長(松本一君) 亀井議員の御質問に対しましてお答えをいたします。 センチュリーパークの核となるチボリ公園の誘致につきましては,県,市,経済界が一体となって取り組んでおりまして,その交渉はこれまで堀総合プロデューサーが当たってまいっておりますことは御承知のとおりでございます。 幸いチボリのカイザー社長も岡山進出につきましては大変前向きにお考えをいただいてる様子でございまして,早い時期にカイザー社長が来岡をされまして,基本的な事項について合意となることを期待をいたしておる次第であります。 その場合,岡山側の法人格を有する当事者が必要でございますことから,新会社を設立しようとするものでございます。したがって,誘致交渉についても今後はこの会社において行うことになります。 あわせてこの会社は御指摘のようにセンチュリーパークのプランニング事業の見込みの策定調査に関する業務を行うということにいたしておる次第でありまして,御理解をいただきたいと存じます。 その他につきましては担当からお答えします。
◎助役(鹿子木貢君) 御質問のうち,数点について私の方からお答えさしていただきます。 まず,会社の新しく設立が予定されておりますセンチュリーパークチボリの会社の関係で,堀プロデューサーの処遇等に対する御質問でございますが,新会社と堀プロデューサーとの関係につきましては,さきにも市長も申し上げられましたとおり,チボリとの誘致交渉,センチュリーパークの企画,設計が主要な業務でございまして,これまでの誘致交渉等の経過がございまして,出資をしてもらい,会社の中にあって一定の権限と責任を持って当たってもらうことがベターであるとの考え方から入ってもらうことになっているものでございます。 また,会社の運営,とりわけ資金の借り入れの問題についてでございますが,この会社が県,商工会議所,市出資の公的な性格の強い会社でございまして,この会社の中で適正な運営がなされなければならないというふうに考えているところでございます。 なお,新会社の役員でございますが,代表者は松本市長が就任予定ですが,その他につきましては現在のところ未定でございます。 次に,この会社の次のステップの事業の主体となる第三セクターについてのお尋ねでございますが,これまでもお答え申し上げておりますように,今回設立予定の新会社によりまして,誘致,企画の業務が進展をいたしますと,次の建設の段階,さらには管理運営の段階になってくるわけでございますが,用地を国鉄清算事業団から随意契約によって取得する場合の制約も踏まえながら,それぞれの段階で事業主体の形態について今後十分検討する必要があろうというふうに考えているところでございます。 次に,関係局長にお尋ねのございました点について,私の方から一括してお答えをさしていただきますので,よろしくお願いします。 まず,公園の建設費に対する財政の問題でございますが,用地費あるいは施設建設費等多額の資金需要が考えられます。岡山市の負担についてどの程度となるのか,この点につきましては今後の建設計画の中で検討されていくものと考えています。その場合,岡山市の負担について御心配いただいております点は私どもも十分踏まえておりまして,将来市民のお荷物になるようなことになってはならない。ただ,将来の建設の段階で新しい会社への出資とか,そういったことはあり得るかもしれませんが,基本的な考え方といたしましてお荷物になるようなことになってはならない,こういうふうに考えておりまして,支出の案が出てきたときは当然市議会の方とも御相談さしていただくということになると考えております。 次に,今後の本市の投資可能額につきましてのお尋ねでございますが,国において
税制改革が検討されようとしておりまして,御案内のとおりでございます。また,国庫補助率の引き下げの取り扱い,本年度,昭和63年度が期限が参っております。こういった諸要素がございまして,将来にわたる財源見通しがいろいろ不透明な中で市民福祉をできるだけ市民福祉に影響を与えないような範囲でどれだけこの方にこたえられるのかについても今後さらに並行して検討してまいりたいと考えております。 次に,アクセスコスト圏の問題でございますが,資料によりますアクセスコスト圏の人口は片道親子4人で2万円,または3万円の経費で来園可能な圏域の人口の算出をいたしております。一方,観光診断の方につきましては,自動車または鉄道を利用して一定の時間で岡山市へ入り込みできる地上圏人口で算定されておりまして,算定の基礎が異なっておりますので差が出ているというふうに御理解願いたいと思います。 一般的には観光地への入り込み予測は所要時間を算定基礎にするのが通常であると聞いておりますが,御指摘のチボリ公園のような特殊要素の多い特定施設の場合は,投資あるいは運営の経費(後刻「運賃等の経費」に訂正)を中心に算定基礎とするというのが適切であろうというふうにも考えております。投資と運営の経費面からですね。 さらに,周辺道路網の整備及び下水道の整備についてのお尋ねでございますが,周辺地域を含めました土地利用,あるいは都市施設等総合的な整備計画を策定をいたしまして,その中で検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。御理解願いたいと思います。 以上でございます。
◎参与(井堀晃郎君) まず最初に,二大レジャーパークという言い方はだれが言っておるのか,チボリが何で海外へ進出するようになったのかという御質問にお答えをさしていただきます。 チボリ公園は御案内のように145年の歴史と伝統を誇るメルヘンと本物志向のヨーロッパ屈指の公園でございまして,約4カ月半の期間中,国内外からの入場者は約500万人に及んでおります。また,ディズニーランドもチボリを参考としたとも言われており,これらのことからディズニーランドとともに二大レジャーパークと言われているのではないかと,このように考えておるとこでございます。 次に,チボリの海外進出の件でございますが,これはチボリの経営方針によるもので,その考えがどこにあるのかということにつきましては正確にはわかりかねております。 次に,岡山市以外のチボリ誘致が20カ所ぐらいあるではないかと,それはどこなのかと,こういうことでございますが,この点につきましては,昨年カイザー社長が来岡されましたときに,世界各地から約20カ所ぐらいの誘致の話があり,日本では岡山市のほかに北海道と本州の中心部に近いところの2カ所と,このように話をされておりますが,具体的な都市名は不明でございます。 次に,チボリの部門別売り上げ,あるいは年間パス券の発行数,あるいは世代分布の御質問でございますが,これらについては詳細に把握をいたしておりません,大変申しわけないと思っておりますが。入場者の世帯分布につきましては,12歳以下が約15%,12歳以上85%というふうに聞いております。これらの点につきましては今後可能な限り調査をしてまいりたいと,このように考えておりまして,わかりましたらまたお答えをさしていただきたいと思います。 最後に,ランドシステム会社の件でございますが,これは昭和59年に設立をされて,資本金500万円,年商1億円となっておりますが,その内容は明確に承知をいたしておりませんので,ひとつ御理解をちょうだいしたいと思います。 以上でございます。